マイケルと言う名の猫(2)
前回はこちら→マイケルという名の猫
「この子、どうしたんだろう・・・ 捨てられちゃったのかな~」
「肉球は汚れていないから、
「ここじゃ、すぐ車に轢かれちゃうよ~」
「○×、△※××?(君、ママはどこ? ママとはぐれちゃったの?」」
あつい息がぼくの顔にかかる。 やめてくれ~!
そんなに顔を近づけなくても聞こえるよ~!
「そこん家は猫なんか飼ってないよ!」
知らないおじさんが通りすがりに、
「しょうがないよね~ この子ここにいたら生きていけないよ~ 死んじゃうよ・・・」
「連れて帰るか・・・」
「でも、ドンとレオが何て言うか・・・」
ドンとレオ? なんだ、食い物か?
とにかく、ぼくはお腹が空いているの!
空も赤から黒っぽい色に変わってきたし、
次の瞬間、ぼくの肉球はまたもやごわごわした地面を感じていた。
「じゃ、にゃんちゃん、バイバイ~」
「きっと誰かが君を連れて行ってくれるよ・・・ ごめんね、ごめ・・・」
最後の“ごめ・・・”の言葉は“ゴーオッ!”
白い四角いものが、
太ったおじさんと、ちりちり頭のおばさんは歩き出していた。
そして、ぼくはトコトコとニンズの後ろを追いかけた。
「ついて来るよ」
「一回抱き上げたから・・・ ついてくるよな~、そうしたら・・・」
「やっぱり、このまま連れて帰ろう」
「うん、ここじゃあ、すぐ事故にあうだけだものな」
そうして、ぼくはまたあの不思議で懐かしい感覚に包まれた。
今度はさっきよりもしっかりと!
ぼくがもっと小さいころに聞いた、“どくどく”
さて、一回でも抱き上げてしまった行きがかり上
相方と私はこの子猫を家に連れて帰ることにしました。
このままここに居ても、
この子は数日も生き延びるチャンスはないだ
でも、きっと我々の本心は、
四角い箱がいっぱいゴー、ゴーッと通る道をぼくらは歩いた。
もっともぼくは抱き上げられて、
「どこに行くの?」、「ごはんはまだ?」、「
ぼくは、ずっとこの知らないニンズに話しかけ続けていた。
「この子、なーご、なーご鳴き通しだね」
「不安だろうね。 われわれもだけどね・・・」
二人はわけのわからない会話をしていた。
不安なのはぼくの方だ! ニンズじゃないはずなのに~!
そして、ぼくの目にうつるのは、もう暗いものばかり。
たまに、2つ目の凄い明るい目を持つ四角い箱の光だけ。
******
空気が何となくひんやりしてきて、あたりは土の匂いと、葉っぱの匂いだけになっていた。
ぼくを抱っこするおばさんの体の動きのゆれる感じが、
どうやらでこぼこの地面を歩いているらしい。
少し遠くに光がいっぱい見えている。
暖っかそうな光・・・
とつぜんだけど、ぼくのオマタをすっと風が吹き抜けた。
「男の子だよっ!」
「♂か!」
「何かちょっと安心した!」
「ぼくは男だい! 何か文句あるのか!?
りっぱなもんがぶら下がっているんだぞ!」
オマタのスーっとした感じが無くなって、
急にぼくの前が真っ暗になった。
さっきまで嗅いでいた土の匂いが強くなった。
おばさんのぼよんとした腕の柔らかい感触がなくなった。
気がつくとぼくは地面の上に立たされていた。
「本当にうちの子にしてもいい?」
おばさんの声が頭の上から聞こえてきた。
「この子が生きていくために必要なものは、ここにはないよ」、
「ドンとレオは何て言うかな・・・ 受け入れてくれるかなぁ・・・」
「連れて帰ってみないとわからないし、
「君はどうしたい?」
おばさんは、突然ぼくに話しかけてきた。
「何だよ~!ごはんくれるんじゃないの?! ひどいよ!
今さら、変なこと聞くなよ!!!」 思いっきり文句を言った。
「こんなところじゃ、生きていけないよね、当たり前だよね。
茶畑の真ん中だし・・・ まだ寒いし・・・」
「とにかく、ウチにおいで。 帰っておいしいもの食べて・・・ あとは、それから」
どうやら、
ところで、そのドンとかレオとかいう奴らは、
情けない話だけど、家が近づくにつれ、
あと、2、3分ほどでわが家に着くという頃家のそばの茶畑の真ん中で
「この子猫を置いていくべきでは。 連れて帰ってもいいのか?」
と急にいろいろな思いがわいてきたのです。
これから先、この子は家猫、
先住ニ匹が受け入れなかったら、等など。
でも5月とはいえ親のいないこの子が一人で、それも茶畑の真ん中で生き延びていける可能性は限りなく低いはず。 生き延びたとしても、ニンズ不信になってしまうだろうし。
やはり出会うべくして出会い、抱き上げるべくして抱き上げた子。
半分うきうきしながら、残り半分は、「
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コメント
ケルさん、不安でお腹ペコペコだったねー。
たしかに先住ネコがいると悩みます・・・。
投稿: みーちゃん | 2010年8月 1日 (日) 18時17分